漢方治療の実際

  ★ ニキビ(尋常性座瘡)

尋常性座瘡の漢方治療は、基本が体質改善にあります。
虚実間証ないし実証での第1選択は清上防風湯です。
瘀血のある場合、女性で生理時に悪化を見る場合などは当帰芍薬散、桂枝茯苓丸などの駆瘀血剤の適応になる場合が多くあります。
胸脇苦満があれば柴胡剤を用います。
便秘があると悪化する場合が多いので、大黄等の下剤を用います。
薏苡仁を加味すると効果的な場合が多いようです。

 
ニキビに頻用される漢方処方  

 (1)清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
尋常性座瘡の第1選択。虚実間証ないし実証に用いる。薏苡仁、便秘があれば大黄を加える。

 (2)大柴胡湯(だいさいことう)
実証で胸脇苦満がある場合に用いる。

 (3)十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
虚実間証で胸脇苦満(軽度)がある場合に用いる。化膿性のものがおおい。

 (4)桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
実証で瘀血があり(小腹急結)、月経困難症、月経不順、生理時の悪化がある場合。

 (5)桂枝茯苓丸(加薏苡仁)(けいしぶくりょうがん か よくいにん)
虚実間証で瘀血があり、生理時の悪化がある場合。

 (6)当帰芍薬散(加薏苡仁)(とうきしゃくやくさん か よくいにん)
虚証で冷え性、月経異常、生理時の悪化のある場合。胃腸が虚弱で消化器症状のある場合は、人 参湯等を合方するとよい場合が多い。

 (7)内托散(千金内托散)(ないたくさん せんきんないたくさん)
人参2.5g、当帰3.0g、黄耆、川芎、防風、桔梗、厚朴、桂枝各2.0g、白シ、甘草各1.0g
虚証で化膿性の場合に用いる。尋常性座瘡に用いる場合は薏苡仁を加える。
 

                                           金匱会診療所所長
                                                 山田享弘