漢方治療の実際

★ 子宮筋腫

 子宮筋腫が、腹診で触知できる程度でも、保存的に漢方薬の服用で、閉経まで経過し、大過なく過ごせる場合も少なくありません。しかし、筋腫が大きく、他の腹内臓器に対する圧迫症状が在ったり、出血が多く、貧血が進んでしまうような場合は、手術をすすめることもあります。
 またなかには、漢方薬の服用で、筋腫が縮小した例もあります。
 処方は駆瘀血剤と呼ばれる、瘀血を治療する方剤を用います。また、これにヨクイニン(ハトムギ)を加味して用います。

     子宮筋腫に頻用される処方

 実証   桃核承気湯:のぼせ、頭痛、左下腹部に小腹急結と呼ばれる、擦過痛が認められる。

 中間症  桂枝茯苓丸:中間症の婦人科疾患では最も頻用される。
       芎帰膠艾湯:過多月経など、出血の多い場合に用いる。

 虚証   加味逍遥散:不安、不眠、イライラ感などの精神症状や、種々の不定愁訴に用いる。
       当帰芍薬散:虚証で冷え性に用いる。水毒の症状(めまい、むくみなどに用いられる。



                                      金匱会診療所所長
                                            山田享弘